マック・バーネット 文/ジョン・クラッセン 絵/なかがわ ちひろ 訳/あすなろ書房
アナベルは はこを ひろった。
なかに はいっていたのは、いろとりどりの きれいな けいと。
とはじまるお話。
箱を持ち帰ったアナベル、
その中の毛糸を使って、自分のセーターを編むのですが、
毛糸はまだ残っていたので、イヌのセーターも編んであげます。
まだ残っていたので、周りの人にどんどんセーターを編んでいくのです。
学校の友達や先生、おとうさん、おかあさん、おじさんにお医者さん、
町中のイヌやネコ、動物たち。
それでもまだ残っているので、
家やポストなどの「モノ」にも!!
セーターを編んでいくのです。
色のなかった町並が、
ページをめくるたびいろとりどりの毛糸で色づいていく。
ともすると、アナベルの行動はすっごくおせっかいなんですけど、
全然押しつけがましくなく、控えめなんです。
そして、ジョン・クラッセンさんの絵が
「どうだ、見ろよ!」っていう出しゃばり感がなくて、
子どもの心にすう~っと入ってくる。
そのあと、アナベルの不思議な毛糸の箱を欲しがる王子が現れて、
箱が盗まれるという事件が起こるのですが、
箱を開けた時の場面、その後に続くシーンの絵が秀逸!!
「絵を読む力」、「絵を感じる力」!!
子どもたちの心にズドンとやってきます。
子どもたちは、この世界に引き込まれていくのです。
絵本は、「文章」と「絵」の二つの要素の相互作用で
最大の効果を発揮するもの。
小難しく言うとそういうことなんですが、
ともかく本当に素晴らしい!!!
最後はもちろんハッピーエンド
温かい気持ちが広がる絵本です
お話が理解できるようになった子どもから
小学生~大人まで楽しめます。
2012年ボストングローブ・ホーンブック賞(絵本部門)受賞作。
2013年度の「第25回読書感想画中央コンクール」の指定図書でした。
その時、ボランティアで
子どもたちの前で読ませてもらったのがこの絵本と私の出会い。
以来、私にとっては冬になると読む絵本です。
絵本の中に入っていく子どもたちの表情に
私も温かい気持ちをいただいています