ちいちゃんのかげおくり (あかね創作えほん 11)
あまんきみこ 作/上野紀子 絵/あかね書房

戦争。
お父さんが出征。
空襲で家は燃え、
主人公のちいちゃんはお母さんともお兄ちゃんともはぐれて一人ぼっちに。
・・・そして、ちいちゃんも、天に召されていく・・・
悲しいお話です。

そんなお話の中、家族の楽しい思い出としてでてくるのが
「かげおくり」。

「かげおくり」とは
真っ青な雲のない空のときに、
自分の影をじぃぃっと見て、10まで数えてから、
空を見上げると、青い空に白い影を見ることができるという遊びです。

家族の楽しい思い出であり、
そして、独りぼっちになったちいちゃんが天に召されるのも、
かげおくり。

絵本の中では
戦争は怖い、悲しい、ダメだetc.
そういうことは一切書いていません。
どう感じるかは読み手にゆだねられ、
でも、感じることができる、そういう絵本です。

小学3年生の教科書にも採用されたことがあるそうなので、
知っている方も多いかもしれません。

実はこの絵本、私が子どもの時、妹が持っていた絵本でした。
「かげおくり」を姉妹で楽しく遊んだのを覚えています。

当時は戦争の悲惨さや悲しさを感じるよりも、
(もちろん悲しい話だと感じてはいましたが、)
「かげおくり」が家族の楽しい思い出だったんだ、とか
天国でちいちゃんは家族に会えたんだ、とか
そんな風に感じていたように思います。

小さいころから、こんな悲惨な絵本を読む必要はないという意見もあるかもしれません。
しかし、子どもは子どもなりにその時にできる精一杯で、絵本を感じます。
もし子どもが怖いと感じるなら、それを抱きしめて受け取ってあげればいい、そう思います。

親子で読んで、ああだこうだ感想を話し合う必要もありません。
お互いに感じたらいいのです。

自分の感想を言ってもいいですが、
子どもに「どう思った?どう感じた?」なんて、
わざわざ聞く必要はありません。
(というか、聞かない方がいいんですよ。
子どもが自分から話すならいいんですけどね。)
もちろん、自分の感じ方を相手に強要する必要などありません。

ちなみに、大人になった私がこの絵本から感じることは、
ただただ、とても悲しくて、悲しくて。
そういう読み方になるのは、私が親になったからでしょうね。

ぜひ親子で絵本を感じてくださいね。