チリンのすず (フレーベルのえほん 27)
(やなせたかし 作・絵/フレーベル館)
チリンのすずで おもいだす
このよの さみしさ
また かなしみ
とはじまる「チリンのすず」
チリンはこの春に生まれた可愛い子羊。
ある夜、チリンのお母さんは、
牧場を襲ったオオカミのウォーからチリンをかばって死んでしまいます。
そのあと、なんとチリンは、
「あなたのような つよい おおかみに なりたい。
ぼくを あなたの でしに してください」
と、ウォーに弟子入りするのです・・・!
端的に言ってしまうと、復讐のお話なんですが、
そんな一言で終わらせてはいけない絵本。
絵本の冒頭に「この世のさみしさ、また悲しみ」とあるように、
読んだ後は、切なくて、苦しくて、悲しくて。
世の中の優しさ、そして不条理さ・無常さ、切なさ・・・。
大人だって消化できないお話。
こんなお話を子どもに読むなんて、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
子どもたちは子どもたちなりにちゃんと感じます。
のっぽさん(NHK教育「できるかな」のしゃべらないおじさん、高見のっぽさん)が
「子ども」のことを「小さい人」と呼んでいるそうですが、
この本を読むと、「子ども」ではなくて「人」だと、すごく感じます。
ものすごく絵本に集中して、世界に入り込んで、
全身で絵本を感じるのです。
私は、毎年冬の時期1~2月に、必ず1年生に読んでいます。
幼稚園児の全体のお話ではちょっと重すぎると思うので、
1年生に読んでいます。
うちの子どもたちは、この絵本はあまり好きではありません。
だって悲しすぎるから、納得いかないから。
でも。
この本を知らない人生なんて!!
小さい子ども~高学年以上~大人の方にも是非読んでいただきたい。
「チリンのすず」を知っているか知っていないかで、
人生の質が変わるんじゃないかと思うくらいの絵本です。
大人の心にも、子どもの心にも響き、深く考えさせられる。
一緒に読んだ人と、この絵本を感じてください。
感想を言葉にしなくても、できなくてもいいんです。
読んで沸き上がった感情をそれぞれに感じたらいい。
ただ、一緒にいてください。
本当にすごい絵本ですから!!!
この「チリンのすず」、
やなせたかしさんの絵本の中で私が一番好きな絵本です。
ps
この名作を1000円以下で買えるっ!!
そういう意味でもすごい本です!!
フレーベル館さん、ありがとう!!